2/24(水) 第17回月刊インタラ塾レポート

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福田敏也プレゼンツ 出張!777塾

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第17回月刊インタラ塾は、「福田敏也プレゼンツ 出張!777塾」と題しまして、777interactive代表取締役の福田敏也さんをお招きし、私塾「777塾」の出張版として、お話いただきました。 777塾とは、福田さんが90年代より始めた広告業界の若手育成を目的とした私塾。前回は、「企画脳の鍛え方」というお題で、お話いただき大好評でした。今回、2度目のご出演ということで、前回に引き続き大変楽しみにしていた回である。

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「ぶっとい企画のつくりかた」

今回のお題はぶっとい企画のつくりかた、簡単に言うと広く、強く伝わっていく企画のつくりかただ。これは、いきなりすごい期待。

ぶっとい企画とは?というところで、2本のCMが紹介。

カップヌードル「hungry?」を上映。
サッポロ黒ラベル「Love Beer? 温泉卓球編」を上映。

「この2つが伝えているところの共通点とは?」

「おなかが空いたら、カップヌードル。」

カップヌードルの基本価値は、「おなかが空いたら、カップヌードル」というところにある。日清さんが開発したこの商品は、人間がどこにいても、山の頂上にいても宇宙にいても、そしていつでも、深夜小腹が空いたときも、クラブから帰ってきてご飯前に空腹をみたしたいときも、お湯さえあれば食べられる画期的発明品であり、そのNO.1ブランドであることにその価値のベースがある。その価値のコアには、おなかが空いたらカップヌードルということがある、ということであり、それが広告設計の土台に据えられている。

「風呂上がりには、サッポロビール。」

ビールっていろんなビールがあってそれぞれに特徴があったりもするけれど、その基本価値を考えると、ビールが格別においしい状況というのがやはりある。日本人だけでなく、アメリカ人にとっても、中国人にとっても、共通の「うまい!」の瞬間がある。お風呂上がりとかスポーツの後、仕事終わりとか。そういう時に飲むビールは最高だね、ってとこは世界中の人が共感するベースである。このシリーズは、温泉とかバーベキューとか、うまい!の王道を逃げずに表現しているシリーズになっている。「風呂上がりには、サッポロビール」と書いたけど、正確には、「ビールがうまい!と思える瞬間にもっともうまいビールがサッポロビール」ということ。

そう、共通しているのは、

商品価値のドセンターで勝負していること。

この2つが「ぶっとい企画」を作るために学んだことだそうだ。

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「広告は2つの「?」でできている。」

・「何をいうのか?」

「何をいうのか?」のない広告は、目的のない広告。「何をいうのか?」は広告をつくるにあたっては必ず考えなければいけない要素。で、ぶっとい広告を作るためには、その「何をいうのか?」の「何」をぶっとくすることが重要。で、ぶっとい広告をつくるためには「商品やブランドのコアな価値」から逃げないということが大切。なぜなら「商品やブランドのコアな価値」は、みんなが共有している価値だから。

・「どういうのか?」

「何をいうのか?」が決まったら、つぎは「どういうのか?」。それによって広告が面白くもつまらなくもなるポイント。「商品やブランドのコアな価値」という土台をつくった上で、その上でどうジャンプするのかを考えるというイメージ。俗に言うクリエイティブジャンプというステップですね。 この2つを2本のCMに当てはめると、

「カップヌードル」

「おなかが空いたら、カップヌードル。」という土台の上で「究極の空腹シンボル原始人による究極の腹ペコ生活」という表現ジャンプをしてる。原始人というぶっとんだ設定が、「空腹」というテーマでつながってすごくユニークにしてパワフルな広告に着地する。

「Love Beer?」

「風呂上がりには、サッポロビール。」という土台の上で、温泉での風呂上がり卓球描写というどまんなか企画になっているのだが、その当たり前のことを当たり前にしないジャンプが、スーパーハイスピード表現ということでできあがっている。昆虫の羽の動きを撮影するときに使用するような超スロー撮影が可能になる特殊なカメラをつかって、風呂上がりの乾きを極端に誇張してる。汗のしずく、動きの激しさ。タレントの力もあいまって、その誇張表現が、とてもパワフルなものに仕上がっている。

・「何をいうのか?」が太ければ、企画は太くなる。
・「何をいうのか?」が太ければ、「どういうのか」は思いきりの良いジャンプができる。

そうすると、

・「何をいうのか」で商品のど真ん中価値を伝えていれば、広告主も安心してジャンプさせてくれる。

ぶっとい企画を作るためには、まず、まず土台をしっかり作ることが大事。土台がしっかりしていないと、どれだけジャンプしようとしても土台もろともくずれる。土台の存在を忘れてどうジャンプしようかばかりに集中しがちだが、ど真ん中の商品価値をしっかりと見極め、そこに立脚することで、どんなにジャンプしてもくずれない土台ができるとのこと。
いたってシンプルな考え方だ。土台がしっかりしていればどんなにぶっ飛んだ事をやっても大丈夫だと。

では、ジャンプの方法は?

「ジャンプのコツは、人間の驚きやワクワクに素直に向き合うこと。」

と、福田さん、ご自身のブックマークを披露。
ドラえもんの道具一覧 - Wikipedia

ドラえもんの道具リストには、世界中の人々が共有する欲望の本質が詰められているとのことだ。福田さんご自身が企画をする際、今でも、迷いが生まれるとドラえもんの道具リストにもどって、人現の欲望の本質にたちかえろうとするとのこと。そこにたちかえって、人間がびっくりすることって何だっけ?人間がわくわくすることって何だっけ?にたちかえる。会議などで社員たちに言っていることは、難しく考えないで、シンプルに考えようということ。
さらに、時代はメディアの多様化と表現技術多様化の時代。 ネット表現がどんどん進化する中でその進化(SNS、YouTube、Twitter、プログラム、ネットワーク、APIなど)を味方につければ、いままでできなかったジャンプができるようになるという視点もある。777が博報堂ケトルさんとともに手がけた案件「Live Color Wall Project」では、コンセプト「Color is magic」(色がキレイなカラーテレビ)」を最新のネット表現技術を活用してシンプルだけど体験したことのない感動につなげる企画をつくった。銀座ソニービルの壁面イルミネーションをリアルタイムにネットから自由に色を変えられるという企画。土台は、Color is magic。あとは、「こんな色体験、始めて!」をどうつくるかにすべての才能と技術が投入されている。


さらには、世界の広告祭で金賞を受賞しているグラフィックをサンプルに、土台とジャンプのクリエイティブのシミュレーションがなされた。

「オリンピックにあわせてつくられたadidasの企業広告」

アディダスは全てのアスリートを応援します。という土台の上にたち、ごく普通のスポーツの日常を描きながら、そこに最高の舞台“オリンピック”の夢の像を重ね合わせる表現になっている。ごく普通のスポーツの日常というレイヤーに非日常的ハレのシーンを稚拙な線描きイラストで重ね合わせることで、ぶっといメッセージが強く伝わる表現設計になっている。

「縫い合わされた血まみれの傷口を表現する国境なき医師団の広告」

土台は「国境のない医師団は、国境を超えた医療活動、紛争被害者支援活動を行っています」というシンプルなメッセージ。それを伝える国境表現が、縫われたばかりの生々しい傷口を国境にみたてることで強く忘れられない表現に着地している。

LUPIN STEAL JAPAN PROJECTのお話」

昨年の年末にスタートし、モヤイ像を盗む活動で話題になったルパンプロジェクトのお話しに。土台は「盗みは最高のエンターテイメント」ということ。ルパン三世というコンテンツの基本価値はそこにある、ということ。そこを深掘っていけば、それが最高の広告になる。その土台の上で何を盗むと面白いのか、というところで、みんなが日々目にしている「街のシンボルを盗む」という飛んだ企画が生まれたという。
盗みは悪い、反社会的行為。でも、人間の心の中には、あざやかな盗みに対する憧れのような気持ちもある。悪いやつらをギャフンと言わせる盗みは、みんな拍手を送りたい。海外においても日本においても「怪盗もの」が人気を持ち続ける理由はそこにある。そのツボをおさえてジャンプすれば、きっとみんな共感してくれるという具合だ。
LUPIN STEAL JAPAN PROJECTの全体像のビデオを披露してくださった。


2009年11月mixiにルパンのアカウントを作成。

同時にサイトで盗んで欲しいモノ投稿を募集

TVCMや渋谷街頭で犯行予告を露出

媒体社に犯行予告リリースをまいてメディアの期待感も増幅

2009年12月6日、渋谷のモヤイ像を盗み出した。


犯行声明を掲出


以後、くいだおれ太郎、BRUTUSの表紙などをつぎつぎに盗んでいく。


ネットの中では、ブログパーツをつかって世界中のサイトを盗んだ。

プロジェクトサイト、mixi、YouTube、Flickr、Twitterなどで、犯行レポートを掲出

盗んだお宝をファンと共有するお宝山分け会の実施


と、プロジェクト全体の流れをご紹介いただいた。


犯行予告を出せば、それなりに話題にはなる。でも、まさか誰も本当にモヤイ像が無くなるとは思わない。


・そこで本当にモヤイがなくなると、ユーザーの頭の中の妄想のスイッチがはいる。ほんとにやるんだ!冗談じゃなかったんだ!
・妄想のスイッチが入ると妄想連鎖がおこり、ユーザーは次から次に仕掛けられるプロジェクトの仕掛けを追いかけてくれる。
・追いかけてくれるユーザーには、犯行情報を次から次へととぎれず出していくことで、妄想連鎖がつづいいていく。それによってキャンペーンをまわる。
・お宝山分け会で盗んだお宝をみんなで分け合うことで、さらに共有を深める。


やっていることは、至ってシンプル。 軸は「盗みは最高のエンターテイメント」からぶらさないということだ。ソーシャルメディアは、プロジェクトの進行をメディアごとに追っかけてもらうメディアとして使っている。YouTubeは動画、Flickrは静止画、Twitterはテキスト。それぞれのメディアごとの特徴の中で、プロジェクトの足跡が残っていく、そしてユーザーがその足跡を追いかける流れを意図して使ったという。


関係ない企業からも盗みの依頼が。。。

くいだおれ太郎を盗み、プロジェクトの活動が認知されてきたあたりから、このプロジェクトに接点のない企業の方から連絡があり「うちの商品を盗んでくれないか?」といったオーダーが何件かあった。面白い表現フォーマットには、みんな乗りたいんだ、ということを実感した。いい企画をつくれば、勝手にタイアップがやってくる、という発見でもあった。


結果として、ルパン三世に関連商品を扱うプロジェクト参加企業さんの商品が売れた、日本テレビのアニメ特番視聴率が昨年の12%から17.6%へと大きく上回ったなど、その効果もわかりやすいキャンペーンだったが、一番良かったのは、ルパン三世の原作者であるモンキー・パンチさんが「ルパンがこんなに愛されてるとは思わなかった。」と言ってプロジェクトの成功を喜んでくださったこと。さらには、日本中のルパンファンが喜んでくれたこと。広告的仕掛けだとわかっていても、みんな「ルパンがやった」「ルパンがやってくれた」とブログに書いてくれたのだという。 モヤイ像撤去の移動シーン映像を撮影したブロガーが「ルパンじゃなく作業の人が運んでましたよ」とコメントしたことに対し、「その作業員になりすましているのがルパンだ!」と更に書き込んでくれるファンがいるなど、ユーザー自身が、このバカげたフィクションを楽しんでくれていたという。

まとめ

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みんながビックリするような企画がやりたい。世間があっというような広告をつくりたい。と考えるなら考えるほど、「何を伝えるのか?」を、ものすごくシンプルにわかりやすく作っていくことが大事。ブランド、商品の持つコアな価値に向き合っていくことが大事。コアな価値に向きあい堅牢な土台を築いた上で、誰も考えなかったようなジャンプを考える。そこがポイント。

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質問タイム

予めTwitterにて質問などを募集していたこともあり、その中からいくつか答えていただきました。

「ここだけは誰にも負けないこと、勝っていることは?」

「浮き草力。いいかえると、変わることに対して柔軟であること。時代の流れや生活者の気分の流れに対して柔軟に動くこと。CMの世界からインターネット広告の世界へいきなり転身したのも、自分にとっては特に「すごい思い切り」でやったわけではなく、けっこう素直な流れだった。マッキントッシュの凄さに80年代前半から影響されていた自分には、コンピューターテクノロジーが広告を変えるかも、という思いは、ずっと前からもっていたものだから。」とのこと。

「モヤイ像を盗るには誰に許しをもらえば良いんでしょう?モヤイ像を盗るには誰に許しをもらえば良いんでしょう?」

「今回は、新島観光協会の方々が、このキャンペーンのユニークさをご理解くださり、新島観光PRにつながるということをご理解いただき協力してくださった結果、できそうもないことができる結果となりました。いろんな偶然が重なった幸運な仕事でもあったかもしれません。またお願いして実現できるものではないと思います。モヤイ像は、東京都新島村が新島観光PRのために渋谷区に置かせていただいているもの。ルパン三世がモヤイ像を盗んだあとに残された犯行声明の脇には、[お問い合わせは新島村役場へ]という張り紙のされた石碑が置かれていました。今回のプロジェクトで、その石碑を見て、その由来を調べブログに書いてくださるユーザーさんもたくさんいました。このプロジェクトの結果、新島とモヤイ像の関係もけっこう知られることとなったんですね。」


といったところで、90分間、非常に濃く、かつシンプルなお話をしていただき、参加の方々も大満足の内容だったかと思います。また、開始から非常にたくさんのお客様にご来場いただきまして、誠にありがとうございました!

月刊インタラ塾